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FBI長官パテル氏のイラン専門家解雇が波紋

by 長谷川 悠人
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対イラン作戦直前のCI-12解雇疑惑

米連邦捜査局(FBI)のカシュ・パテル長官に対する批判が高まっています。2026年3月、イランに対する米国の軍事作戦開始の数日前に、パテル長官がイランの脅威を監視する防諜チームを解雇していたことが明らかになりました。

25年間FBIで勤務した元捜査官をはじめ、現役・元職員から「危険なゲームをしている」との声が上がっています。パテル長官の一連の人事が国家安全保障にもたらすリスクについて、本記事では詳しく解説します。

イラン防諜チーム解雇の経緯

対イラン作戦直前の大量解雇

2026年3月初旬、パテル長官はワシントンD.C.に拠点を置くFBI防諜部門「CI-12」から約12名の捜査官とスタッフを解雇しました。CI-12は機密文書の不正取り扱いから、米国内で活動する外国スパイの追跡まで幅広い任務を担当しており、イランの体制からの脅威監視も主要な任務の一つでした。

この解雇は、トランプ大統領がイランに対する大規模な軍事作戦を開始するわずか数日前のタイミングでした。軍事的な緊張が最高潮に達する時期に、まさにイランの脅威を監視する専門チームが解体されたのです。

解雇の理由はトランプ捜査への関与

解雇された人物に共通する特徴は、トランプ大統領のマール・ア・ラーゴ邸における機密文書保管に関する捜査に関与していたことです。パテル長官はこの捜査チームが「不適切な捜査手法を用いた」と主張しましたが、具体的な証拠は示していません。

解雇されたメンバーにはイラン問題の専門家が含まれており、トランプ政権の第1期にはイラン革命防衛隊の脅威を追跡する重要な役割を果たしていました。2020年のカセム・ソレイマニ司令官殺害後のイランからの報復脅威の監視にも関わった人物が含まれています。

パテルFBI長官への批判

元捜査官からの警告

25年間FBIに勤務した元捜査官は、パテル長官の行動を「危険なゲーム」と表現し、9月11日のような事態が再び起きなければ目を覚まさないのかと警鐘を鳴らしています。FBI内部からは、パテル長官が就任以来、組織の士気を低下させ、FBIを弱体化させているとの声が多数上がっています。

現職・元職のFBI関係者や司法省職員は、今回の解雇を「米国の国家安全保障にとって特に危険」と指摘しています。対イラン軍事作戦が進行する中で、イランからの報復攻撃やテロの脅威を監視する能力が大幅に低下しているためです。

組織的な人材流出

問題はCI-12の解雇だけにとどまりません。司法省の国家安全保障部門全体で、トランプ政権の発足以来、大量の解雇と辞職が続いています。テロ対策専門のオフィスを含む複数の部門で、職員の半数以上が失われたと報告されています。

パテル長官は就任以来、FBI専用ジェット機の私的利用疑惑や、刑事捜査の妨害疑惑など、複数のスキャンダルにも見舞われています。

法的挑戦

解雇された元FBI特別捜査官2名が、パテル長官とパム・ボンディ司法長官を相手取り、「違憲な解雇」だとして訴訟を提起しています。原告らは、トランプ大統領の捜査への関与が最小限であったにもかかわらず解雇されたと主張しています。

CI-12解体で生じる国内防諜の空白

パテル長官の人事がFBIの防諜能力に与える影響は、短期的にも長期的にも深刻です。イランとの軍事的緊張が続く現在、国内でのイラン関連の脅威を監視する体制が弱体化していることは、テロ対策上の重大な懸念材料です。

ただし、FBIの防諜活動は複数の部門にまたがって行われており、CI-12の解体だけで全ての能力が失われるわけではありません。また、CIA(中央情報局)やNSA(国家安全保障局)など他の情報機関もイランの脅威を監視しています。

とはいえ、FBIは国内における防諜活動の主要な担い手であり、その専門チームの解体は他の機関では代替が困難な空白を生むとの指摘があります。今後の訴訟の行方や議会での追及がどのような結果をもたらすか注目されます。

政治報復人事が損なうFBI防諜能力

カシュ・パテルFBI長官によるイラン防諜チームの解雇は、政治的な報復人事が国家安全保障を損なうリスクを如実に示しています。対イラン軍事作戦の直前という時期に、イランの脅威監視の専門家を排除したことの影響は計り知れません。

元FBI捜査官の警告が示すように、国内の安全保障を担う機関の専門性と独立性を維持することは、党派を超えた課題です。FBIの防諜能力の回復と、情報機関の政治的中立性の確保が、今後の米国の安全保障に不可欠な要素となります。

参考資料:

長谷川 悠人

米国政治・外交

米国政治の内幕を、ホワイトハウスから議会まで多角的に分析。政策決定のプロセスと日本への影響を鋭く読み解く。

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