Meta700人削減の裏で幹部に巨額報酬、AI転換の実態
Meta700人削減と幹部報酬格差
Meta Platforms(旧Facebook)は2026年3月25日、約700人の従業員を解雇したことが明らかになりました。削減の対象となったのは、VR・AR部門のReality Labs、Facebook、採用、営業、グローバルオペレーションの5部門にわたります。
注目すべきは、この人員削減の発表がわずか1日前に公表された幹部向けの巨額ストックオプション制度と時期が重なったことです。AI分野への急速なシフトを進めるMetaの戦略と、そこに生じる従業員と経営陣の待遇格差が議論を呼んでいます。
人員削減の全体像
対象部門と規模
今回の約700人の削減は、Meta社内の5つの主要部門に及んでいます。特に大きな影響を受けたのはReality Labs部門です。同部門は2026年1月にもVRゲームスタジオの閉鎖などで1,000人以上が削減されており、メタバース関連投資からの撤退が加速していることがうかがえます。
採用(リクルーティング)部門も大幅な縮小対象となりました。これはMeta全体の採用ペースが鈍化していることを反映しています。ただし、一部の対象者には社内での異動が提示されており、場合によっては勤務地の変更を伴うケースもあるとされています。
より大規模な削減の可能性
ロイター通信の報道によると、Metaの上級幹部には全従業員の約20%にあたる人員削減を計画するよう指示が出ています。2025年12月時点で約79,000人の従業員を抱えるMetaにとって、これは約15,000人の削減に相当します。今回の700人はその一部に過ぎない可能性があり、今後も段階的な人員整理が続くと見られています。
幹部向け巨額報酬の内容
ストックオプション制度の詳細
人員削減の発表とほぼ同時期に明らかになったのが、6人の上級幹部を対象とする新たなストックオプション制度です。この制度は2031年までの業績目標に連動しており、条件を満たした場合、各幹部は最大で9億2,100万ドル(約1,380億円)相当の株式報酬を受け取る可能性があります。
対象となる幹部には、最高財務責任者(CFO)のスーザン・リー氏、最高技術責任者(CTO)のアンドリュー・ボズワース氏、最高製品責任者(CPO)のクリストファー・コックス氏、最高執行責任者(COO)のハビエル・オリバン氏が含まれます。
制度の狙い
Metaはこのストックオプション制度を、AI分野への大規模投資を推進する中で、トップ人材の流出を防ぐための「リテンションツール(引き留め策)」と位置づけています。OpenAI、Anthropic、Googleなど競合他社との人材獲得競争が激化する中、経営幹部の安定確保は重要な経営課題です。
しかし、数百人の従業員が職を失うのと同じタイミングでの発表は、社内外で大きな批判を招いています。
AI投資への急速なシフト
過去最大の設備投資
Metaは2026年の設備投資額を1,150億ドルから1,350億ドル(約17兆〜20兆円)と予測しています。これは過去最大の規模であり、その大部分がAIインフラの構築に充てられます。
具体的には、大規模言語モデル(LLM)の開発、AIエージェントの構築、データセンターの拡張などが主要な投資先です。Metaは自社開発のLlama(ラマ)モデルシリーズを中心にAI戦略を展開しており、OpenAIやGoogleに対抗する姿勢を明確にしています。
人材戦略の転換
レイオフの一方で、MetaはAI関連の人材採用を積極的に進めています。直近では、スタートアップのDreamerとのライセンス契約を通じ、同社のスタッフをMeta Superintelligence Labs(超知能研究所)に迎え入れています。元Meta幹部のヒューゴ・バーラ氏もこの動きで復帰しました。
つまり、Metaは「人を減らしている」のではなく、「人員構成を変えている」のです。VR・メタバース関連や間接部門の人員を削減し、AI関連の専門人材へとリソースを再配分する戦略が明確になっています。
AI転換で進む5万9000人レイオフ
今回のレイオフは、テック業界全体で進む「AI転換」の象徴的な出来事です。2026年のテック業界全体のレイオフ数は5万9,000人を超えており、Amazon、Block(旧Square)など他の大手企業でも同様の動きが見られます。
MetaがAI投資に振り向ける資金は、従業員報酬が2026年の総費用増加の第2位の要因になると予測されています。つまり、AIに関わる人材には手厚い報酬が用意される一方、それ以外の分野では厳しい状況が続くという二極化が進んでいます。
また、Reality Labsの継続的な縮小は、ザッカーバーグ氏がかつて掲げた「メタバース構想」からの事実上の後退を意味します。今後もAIがMetaの最優先課題であり続ける中、どの部門がさらなる削減の対象になるかが注目されます。
MetaのAI再配分と人材市場の変化
Metaの約700人の人員削減と幹部向け巨額報酬の同時発表は、同社のAI転換の加速を象徴しています。VR・メタバースからAIへの大胆なリソース再配分が進む中、従業員と経営幹部の待遇格差は今後も議論の焦点となるでしょう。
テック業界で働く方にとっては、AI関連のスキルがこれまで以上に重要になる時代が到来しています。Metaの動きは一企業の話にとどまらず、業界全体の人材市場の変化を映し出しています。
参考資料:
- Meta cutting several hundred jobs across Reality Labs, Facebook and other departments - CNBC
- Meta cuts 700 jobs as it dangles up to $921 million for top executives in AI push - CryptoBriefing
- Meta begins layoffs of hundreds of employees in five divisions - NBC News
- Meta lays off hundreds across Reality Labs, recruiting, and sales amid $135B AI bet - The Next Web
- Meta is cutting several hundred jobs - TechCrunch
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