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ニューサム知事「アパルトヘイト」発言を撤回

by 長谷川 悠人
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ニューサム氏発言撤回と2028年の火種

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が、イスラエルを「一種のアパルトヘイト国家」と表現した自身の発言について「後悔している」と述べました。この発言は3月初旬のポッドキャスト番組で行われたもので、大きな反響を呼んでいました。

ニューサム知事は2028年の大統領選挙への出馬が取り沙汰されている人物です。今回の発言とその撤回は、民主党内のイスラエル政策をめぐる議論の複雑さを浮き彫りにしています。

発言の経緯

ポッドキャストでの発言

2026年3月初旬、ニューサム知事は人気ポッドキャスト番組「Pod Save America」に出演しました。自身の回顧録のプロモーションを兼ねた出演中、イスラエルへの米国の軍事支援について質問を受けた際、次のように発言しています。

「胸が痛みます。イスラエルの現在の指導者は、選択肢がなくなる方向に私たちを導いています」

さらに、ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、トーマス・フリードマン氏らの発言を引用する形で「他の人々がアパルトヘイト国家として適切に語っている」と述べました。この発言はイスラエルへの軍事援助の見直しを示唆するものとして、すぐに大きな波紋を広げました。

ユダヤ系支持者からの反発

「アパルトヘイト」という言葉の使用は、民主党のユダヤ系支持者を中心に強い反発を招きました。「アパルトヘイト」は南アフリカの人種隔離政策を指す用語であり、イスラエルに対してこの表現を使うことは、イスラエル支持者にとって極めて挑発的なものと受け止められています。

発言の撤回と釈明

「後悔している」

2026年3月24日に公開されたポリティコ誌のインタビューで、ニューサム知事は発言の撤回に踏み切りました。「アパルトヘイト」という言葉を使ったことを後悔しているかと問われ、「この文脈では後悔している」と回答しています。

ニューサム知事は、自身の発言がフリードマン氏の2月のコラムに基づくものだったと説明しました。フリードマン氏は「イスラエルがデフォルトで、250万人のパレスチナ人を恒久的に支配するある種のアパルトヘイト的国家になりうる」と論じていました。

イスラエルへの敬意を強調

同時に、ニューサム知事は「私はイスラエル国家を深く敬愛している。イスラエル国家を支持することを誇りに思う」と述べました。一方で「ネタニヤフ首相の指導力には深く反対する」と付け加え、二国家解決策への反対姿勢や西岸地区での極右勢力への迎合を批判しました。

将来への警告は維持

発言を撤回しつつも、ニューサム知事はネタニヤフ首相が推進する「ヨルダン川西岸の完全な併合」が実現した場合、「アパルトヘイトという言葉を他の人々が使うようになるだろう」という警告は維持しています。つまり、現状の描写としてではなく、将来のリスクとしての指摘に軌道修正した形です。

2028年大統領選を見据えた政治的背景

民主党内のイスラエル政策の変化

ニューサム知事の発言とその撤回は、民主党内のイスラエル政策をめぐる微妙なバランスを反映しています。世論調査によると、民主党支持者の65%がパレスチナ人により同情的で、イスラエル寄りはわずか17%にとどまっています。

2028年の大統領選に向けて、民主党の有力候補にとってネタニヤフ政権への批判はほぼ必須条件となっています。しかし、「アパルトヘイト」のような強い表現は、重要な資金提供者やユダヤ系有権者との関係を損なうリスクがあります。

AIPAC との距離

ニューサム知事は以前、米国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)から資金を受け取ることは「決してない」と明言しています。AIPACからの資金を拒否する姿勢は、民主党候補にとって一種の踏み絵となりつつあり、党内の進歩派からは支持を集める一方で、従来のイスラエル支持層との溝を広げる可能性があります。

左派と中道派の板挟み

今回の一連の動きは、ニューサム知事が民主党の左派と中道派の間で難しい舵取りを求められていることを示しています。「アパルトヘイト」発言は進歩派の支持を得る効果がありましたが、撤回はより広い有権者層への配慮を示すものです。2028年に向けて、中東政策は民主党予備選の重要な争点となる見通しです。

アパルトヘイト表現と民主党予備選の争点

「アパルトヘイト」という用語をめぐる議論

「アパルトヘイト」という言葉をイスラエルに適用することの是非は、国際社会でも長年議論されてきました。国際人権団体の一部はこの表現を使用していますが、イスラエル政府や支持者はこの表現を強く拒否しています。政治的文脈では、この言葉の使用自体が強いメッセージとなります。

今後の展開

ニューサム知事の発言とその撤回は、今後の民主党予備選でイスラエル政策がどのように議論されるかの前例となる可能性があります。ガザ紛争が続く中、候補者たちはイスラエルへの批判と支持のバランスをどう取るか、慎重な判断を迫られるでしょう。

2028年へ続く民主党内イスラエル政策の力学

ニューサム知事がイスラエルを「アパルトヘイト国家」と表現した発言を撤回した今回の一件は、単なる失言の訂正にとどまりません。2028年大統領選を見据えた民主党内のイスラエル政策をめぐる複雑な力学が背景にあります。

民主党支持者の間でパレスチナへの同情が高まる一方、ユダヤ系支持者や資金提供者との関係維持も重要です。ニューサム知事の今後の中東政策に関する発言は、2028年大統領選の行方を占う上で注目に値します。

参考資料:

長
長谷川 悠人

米国政治・外交

米国政治の内幕を、ホワイトハウスから議会まで多角的に分析。政策決定のプロセスと日本への影響を鋭く読み解く。

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