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アルテミス2打ち上げ:54年ぶり有人月周回飛行の全貌

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はじめに

2026年4月1日(米国東部夏時間)、NASAはフロリダ州ケネディ宇宙センターから有人月周回ミッション「アルテミス2(Artemis II)」の打ち上げを実施しました。1972年のアポロ17号以来、実に54年ぶりとなる有人深宇宙飛行であり、人類の月探査における新たな一歩として世界中の注目を集めています。

アルテミス2は、NASAの次世代大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の2回目の飛行であると同時に、オリオン宇宙船に初めて乗組員が搭乗する歴史的なミッションです。本記事では、ミッションの全容、搭乗する4名の宇宙飛行士のプロフィール、そして今後のアルテミス計画の展望について詳しく解説します。

アルテミス2ミッションの概要

10日間にわたる月周回飛行の軌道設計

アルテミス2は、約10日間にわたる月フライバイ(月周回通過)ミッションです。オリオン宇宙船は、まず高度約1,800kmの高軌道に投入され、約24時間の周回中に宇宙船の各種システムチェックが行われます。

その後、月遷移軌道へと投入され、約3日間かけて月へ向かいます。月の裏側を通過する「自由帰還軌道」と呼ばれる経路を飛行し、月面から約7,600km(約4,700マイル)の距離まで接近します。この軌道は1970年のアポロ13号が採用したものと類似しており、月の重力を利用して地球への帰還軌道に乗る設計です。

注目すべきは、アルテミス2の飛行距離です。計画通りに進めば、1970年にアポロ13号のクルーが記録した地球からの最遠距離(約40万km)を上回る可能性があるとされています。

SLSロケットとオリオン宇宙船の性能

SLSロケットは全高約98メートルで、アポロ計画で使用されたサターンVロケットよりも全長はやや短いものの、打ち上げ時の推力は約880万ポンド(約3,990トン)に達し、サターンVを約15%上回る史上最大級の推力を誇ります。2基の固体ロケットブースターと4基のRS-25エンジンが約8.5分間燃焼し、オリオン宇宙船を秒速約8kmまで加速させます。

オリオン宇宙船はカプセル型の有人宇宙船で、最大4名の宇宙飛行士が搭乗可能です。欧州宇宙機関(ESA)の協力のもと、エアバス社を中心とするコンソーシアムが製造したサービスモジュールを搭載しており、メインエンジン、8基の補助エンジン、24基の姿勢制御スラスターを備えています。

歴史を刻む4名のクルー

多様性を象徴する飛行チーム

アルテミス2には、NASA所属の3名とカナダ宇宙庁(CSA)所属の1名、計4名の宇宙飛行士が搭乗しています。

リード・ワイズマン(Reid Wiseman):司令官

メリーランド州ボルチモア出身のワイズマンは、2014年に国際宇宙ステーション(ISS)第41次長期滞在ミッションにフライトエンジニアとして参加し、165日間にわたるミッションで300件以上の科学実験を遂行した実績があります。低軌道を離れる最年長の人物となります。

ビクター・グローバー(Victor Glover):パイロット

カリフォルニア州出身のグローバーは、米海軍のテストパイロットとしてF/A-18ホーネットやEA-18Gグロウラーなどの操縦経験を持ち、2020年にはスペースXのクルードラゴン宇宙船「クルー1号」のパイロットとしてISSに滞在しました。低軌道を超えて飛行する初の有色人種の宇宙飛行士となります。

クリスティーナ・コック(Christina Koch):ミッションスペシャリスト

コックは、ISSで連続328日間の滞在記録を持ち、女性初の船外活動(EVA)をペアで実施したことでも知られています。低軌道を超えて飛行する初の女性宇宙飛行士となります。

ジェレミー・ハンセン(Jeremy Hansen):ミッションスペシャリスト

カナダ宇宙庁所属のハンセンは、カナダ空軍の元戦闘機パイロットです。米国以外の国籍を持つ人物として初めて深宇宙を飛行し、月の近傍まで到達する宇宙飛行士となります。

アルテミス計画の今後の展望

月面着陸は2028年のアルテミスIVへ

アルテミス計画は、当初アルテミスIIIで月面着陸を予定していましたが、2026年2月の記者会見でNASA長官ジャレッド・アイザックマンが計画の修正を発表しました。現在の計画では、アルテミスIIIは2027年中頃に地球低軌道でスペースXの「スターシップHLS」やブルーオリジンの「ブルームーン」などの月着陸船のテストを行うミッションに変更されています。

実際の有人月面着陸は、2028年に予定されるアルテミスIVが担うことになります。さらにアルテミスVも2028年後半に計画されており、月面での長期滞在能力の構築を目指しています。

日本の参加と「Gateway」構想

日本はアルテミス計画の重要なパートナーです。JAXAはISS計画で培った有人宇宙滞在技術や物資補給技術を活かし、月周回有人拠点「Gateway」への居住環境技術の提供や物資補給を担当します。

日米両政府の合意により、将来のミッションで日本人宇宙飛行士2名が月面に着陸することが正式に決定しています。目標時期は2028年のアルテミスIV以降とされ、実現すれば米国人以外として初の月面着陸となります。

注意点・展望

アルテミス2は月面着陸を伴わないフライバイミッションではありますが、その意義は極めて大きいです。深宇宙環境下でのオリオン宇宙船の生命維持システム、通信、航法、大気圏再突入といった重要技術を有人状態で初めて検証する機会となるためです。

一方で、アルテミス計画全体のスケジュールはこれまで何度も延期を繰り返してきた経緯があります。SLSロケットのリハーサル中に液体水素の漏洩が発生するなど、技術的な課題も完全には解消されていません。今後のミッションが計画通りに進むかどうかは、アルテミス2の成果に大きく左右されることになります。

また、中国の有人月面着陸計画が2030年頃を目標としているほか、民間企業による月探査も活発化しており、国際的な月探査競争はますます激化しています。

まとめ

アルテミス2は、54年ぶりに人類を月の近傍へ送り出す歴史的なミッションです。4名のクルーは多様性を象徴する顔ぶれであり、宇宙探査の新時代を体現しています。

このミッションの成功は、2028年に予定される有人月面着陸、さらにはその先の月面基地建設や火星探査への道筋を切り開く重要な試金石です。日本を含む国際パートナーが協力する持続的な月探査計画の第一歩として、アルテミス2の動向に今後も注目が集まります。

参考資料:

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