インディアナポリス市議の自宅に銃撃、データセンター賛成票の直後
ロン・ギブソン氏宅13発銃撃事件
2026年4月6日未明、米インディアナ州インディアナポリスの市郡議会議員ロン・ギブソン氏の自宅に13発の銃弾が撃ち込まれる事件が発生しました。玄関先には「No Data Centers(データセンター反対)」と書かれたメモが残されていました。ギブソン氏と8歳の息子は自宅内にいましたが、幸いにもけが人はいませんでした。この事件は、ギブソン氏の選挙区であるマーティンデール・ブライトウッド地区にデータセンターの建設が承認されたわずか数日後に発生しており、全米で拡大するデータセンター反対運動の過激化を象徴する事例として注目を集めています。
事件の経緯と捜査状況
銃撃事件の詳細
Fox59の報道によると、事件は4月6日午前0時45分から0時50分ごろ、インディアナポリス北東部にあるギブソン議員の自宅で発生しました。何者かが自宅の正面玄関に向けて13発の銃弾を発砲し、玄関マットの上に「No Data Centers」と記されたメモを残して逃走しました。ギブソン氏と8歳の息子は就寝中でしたが、銃声で目を覚まし、無事を確認しました。
ギブソン議員は声明で「公務に従事すれば強い意見や反対に直面することは理解していますが、暴力は決して答えにはなりません。特に家族を危険にさらすものであれば」と述べ、事件を「深く不安に思う」と表現しました。
FBIの捜査参加
インディアナポリス警察(IMPD)はこの銃撃を「孤立した標的型事件」と見ており、FBIも捜査に参加しています。インディアナ・ロイヤー誌の報道では、連邦当局が関与していることから、この事件が単なる器物損壊ではなく、公務員に対する脅迫として重大視されていることがうかがえます。市郡議会のマギー・ルイス議長は「議会はギブソン議員とそのご家族と揺るぎない連帯を表明します」とし、「暴力、脅迫、威嚇は対話の形ではなく、民主主義、市民的議論、コミュニティの安全に対する攻撃です」と声明を発表しました。
データセンター建設をめぐる地域の対立
メトロブロックス社の建設計画
事件の背景にあるのは、ロサンゼルスに拠点を置くメトロブロックス社がマーティンデール・ブライトウッド地区に計画した約5億ドル規模のデータセンター建設プロジェクトです。建設予定地はシャーマン・ドライブ2505番地の旧ドライブインシアター跡地で、約14エーカーの敷地に建設されます。2026年4月1日、インディアナポリス都市開発委員会は6対2の投票でゾーニング変更を承認し、このプロジェクトにゴーサインを出しました。
ギブソン議員はFacebookへの投稿で「このプロジェクトにはマーティンデール・ブライトウッドを支援するための250万ドルのコミットメントがすでに含まれており、初期推計では追加投資を通じて少なくとも2,000万ドル以上が地域に還元される可能性がある」と支持を表明していました。
住民と市民団体の強い反対
しかし、地域住民の多くはこの計画に強く反対しています。Mirror Indyの報道によると、マーティンデール・ブライトウッドは歴史あるアフリカ系アメリカ人コミュニティであり、何十年にもわたる産業開発による環境汚染(鉛で汚染された土壌を含む)にすでに苦しめられてきました。住民たちは、データセンターが騒音、水の大量消費、電力需要の増大という新たな負担をもたらし、歴史的な産業搾取のパターンを繰り返すことになると主張しています。
地域では「プロテクト・マーティンデール・ブライトウッド連合」が結成され、約100名の住民が参加する抗議集会も開催されました。さらにインディアナポリスNAACPも2026年3月9日付でプロジェクトに反対する書簡を発表しましたが、その後立場を修正したとMirror Indyが報じています。
全米に広がるデータセンター反対運動
640億ドル規模のプロジェクトに影響
今回の事件は、全米で拡大するデータセンター反対運動の文脈でも注目されています。Data Center Watchの調査によると、2024年5月から2025年3月の間に640億ドル以上のデータセンタープロジェクトが組織的な反対運動により遅延または中止に追い込まれました。24州で140以上の活動家グループがデータセンター開発の阻止や減速に向けて活動しています。
環境・健康への懸念
地域住民の懸念の中心は水の大量消費であり、反対プロジェクトの40%以上でこの問題が指摘されています。次いでエネルギー消費と電気料金の上昇、騒音公害が主要な懸念事項として挙げられています。WBURの報道ではマサチューセッツ州の複数の都市がデータセンター建設の一時停止措置を講じており、少なくとも14州の自治体がモラトリアム(一時凍結)を制定しています。ハーバード大学公衆衛生学者の分析では、バージニア州のデータセンターが州の大気汚染規制を遵守していても、地域住民に年間最大9,900万ドルの健康被害をもたらすと推計されています。
AIデータセンター急増下の合意形成課題
今回の銃撃事件は、データセンターをめぐる地域対立が暴力的な段階にエスカレートしたという点で、極めて深刻な事態です。AI需要の急増に伴いデータセンターの建設ラッシュが続く中、地域住民との合意形成プロセスの重要性がこれまで以上に問われています。
特にマーティンデール・ブライトウッドのような歴史的に環境正義の問題を抱えるコミュニティでは、経済的恩恵と環境負荷のバランスについて、より丁寧な対話が求められます。ギブソン議員が指摘する地域への経済還元と、住民が懸念する環境・健康リスクの両面を考慮した意思決定プロセスの構築が不可欠です。
FBIが捜査に参加していることからも、公務員への暴力的脅迫に対する厳格な姿勢が示されており、犯人の早期逮捕と、対話に基づく民主的な問題解決の回復が望まれます。
5億ドル計画と640億ドル反対運動の構図
インディアナポリスのロン・ギブソン市議会議員の自宅に13発の銃弾が撃ち込まれた事件は、データセンター建設をめぐる地域対立が暴力的な形で表面化した深刻な事例です。約5億ドル規模のメトロブロックス社のプロジェクト承認から数日後に発生したこの事件は、全米で640億ドル以上のプロジェクトに影響を及ぼしているデータセンター反対運動の文脈に位置づけられます。AI時代のインフラ整備と地域住民の権利・環境保護のバランスをどう取るかという問題は、今後ますます重要な社会課題となっていくでしょう。
参考資料:
- ‘No Data Centers’: Indy councilor’s home hit with 13 shots in targeted attack - WRTV
- Targeted shooting at home of Indy city-county councilor includes anti-data center message - WFYI
- Indianapolis City-County councilor says 13 shots fired into his home - Fox59
- Indy police, FBI investigating shots fired at City-County Council member’s home - The Indiana Lawyer
- Controversial data center is approved for Martindale-Brightwood - WFYI
- Ron Gibson says his home was shot at, ‘no data centers’ note left - Mirror Indy
- $64 billion of data center projects have been blocked or delayed amid local opposition - Data Center Watch
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