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ミネソタ州がICE銃撃事件の証拠開示を提訴

by 村上 詩織
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ミネソタ州のICE銃撃証拠開示訴訟

2026年3月24日、ミネソタ州の検察当局が連邦政府を相手取り、移民取り締まり作戦中に発生した3件の銃撃事件に関する証拠の開示を求める訴訟を提起しました。これらの事件では米国市民2人が死亡し、不法滞在者1人が負傷しています。

連邦政府は事件に関する基本的な情報の提供すら拒否しており、州当局との間で深刻な対立が生じています。本記事では、「オペレーション・メトロ・サージ」と呼ばれる移民取り締まり作戦の経緯と、証拠開示をめぐる法的攻防について詳しく解説します。

オペレーション・メトロ・サージの概要

史上最大規模の移民取り締まり作戦

オペレーション・メトロ・サージは、2025年12月4日に国土安全保障省(DHS)が発表した大規模移民取り締まり作戦です。2026年1月6日に拡大され、約2,000人の連邦捜査官がミネアポリス・セントポール都市圏に派遣されました。

DHSはこれを「史上最大の移民取り締まり作戦」と位置付け、3,000件以上の逮捕を実施しました。しかし、令状なしの逮捕や抗議者との衝突、米国市民の誤った拘束など、その強引な手法が大きな批判を浴びました。

作戦を率いたグレゴリー・ボヴィーノ

作戦の現場指揮官を務めたのは、国境警備隊のグレゴリー・ボヴィーノ氏です。当時の国土安全保障長官クリスティ・ノーム氏に直接報告する「総司令官」として、通常の指揮系統を超えた権限を与えられていました。

3件の銃撃事件の詳細

レニー・グッド氏の死亡(1月7日)

最初の事件は2026年1月7日に発生しました。37歳の米国市民レニー・グッド氏が、ICE捜査官ジョナサン・ロスに射殺されました。グッド氏は車内にいたところ、捜査官が窓越しに降車を命じました。車が前方に動き出した際に3発が発射され、グッド氏は死亡しました。

この事件をきっかけに、ミネアポリスでは数千人規模の抗議デモが発生しました。

アレックス・プレッティ氏の死亡(1月24日)

1月24日には、退役軍人省の集中治療室看護師だった37歳のアレックス・プレッティ氏が、2人の税関・国境警備局(CBP)職員に射殺されました。

プレッティ氏は携帯電話で法執行官の活動を撮影しながら、交通整理を行っていました。捜査官が女性を地面に押し倒した際、プレッティ氏はその女性を守るように間に入りました。その後、催涙スプレーをかけられ、複数の捜査官に取り押さえられた状態で射殺されました。

当初ボヴィーノ氏は、プレッティ氏が9mm拳銃を所持し「法執行官に最大限のダメージを与えようとした」と主張しましたが、目撃者の動画映像はこの説明と矛盾するものでした。その後、2人の捜査官が偽証の疑いで連邦捜査の対象となっています。

3件目の銃撃事件

3件目の銃撃では不法滞在のベネズエラ人男性が負傷しました。この事件についても、連邦当局は詳細な情報の提供を拒んでいます。

証拠開示をめぐる法的攻防

州検察の主張

ミネソタ州のキース・エリソン司法長官とヘネピン郡のメアリー・モリアーティ検察官は、連邦政府が証拠共有の約束を反故にしたと主張しています。州当局は独自の捜査を実施するために、発砲に関する報告書、ボディカメラ映像、証人の供述などの開示を求めています。

エリソン司法長官は記者会見で「連邦政府が自らを捜査することを信頼できない」と述べ、州による独立した捜査の必要性を強調しました。

連邦政府の立場

トランプ政権は、連邦捜査官の行動は連邦管轄に属し、州当局には捜査権限がないと主張しています。パメラ・ボンディ司法長官の下、司法省はミネソタ州への証拠提供を一切拒否する姿勢を貫いています。

連邦政府と州の管轄権争い

この訴訟は、移民取り締まりにおける連邦政府と州政府の権限の境界という、より大きな憲法上の問題を提起しています。連邦捜査官が州内で州法に違反する行為を行った場合、州にはそれを捜査する権限があるのかという根本的な問いが問われています。

ICE作戦の説明責任と州監視の行方

この訴訟の結果は、今後の移民取り締まり作戦における連邦政府の説明責任に大きな影響を与える可能性があります。裁判所が州側の主張を認めれば、連邦捜査官の活動に対する州レベルの監視が強化される前例となります。

一方、オペレーション・メトロ・サージの政治的影響はすでに広がっています。作戦の責任者だったボヴィーノ氏は3月末で退職し、ノーム前長官もDHS長官の座を退いています。議会でもこの作戦に関する超党派の追及が続いており、連邦捜査官による暴力の全容解明が求められています。

米国市民2人死亡が問う移民執行の人権

ミネソタ州の訴訟は、移民取り締まり作戦中に発生した銃撃事件の真相究明に向けた重要な一歩です。米国市民2人の命が失われた事件について、連邦政府が証拠を開示しないことは、政府の透明性と説明責任に対する深刻な疑問を投げかけています。

州と連邦政府の管轄権をめぐる法的争いの行方とともに、移民政策の執行における人権保護のあり方が改めて問われています。

参考資料:

村上 詩織

移民・難民・教育格差

移民・難民・教育格差など、社会の周縁に置かれた人々の声を丁寧に取材。制度と現実のギャップを浮き彫りにする。

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