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米DHS閉鎖40日、共和党が打開策を提示

by 長谷川 悠人
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DHS閉鎖40日超とICE分離案の焦点

米国の国土安全保障省(DHS)が2月14日から閉鎖状態に入り、すでに40日以上が経過しています。約12万人の連邦職員が無給で勤務を続けるなか、空港の保安検査場では数時間待ちの長蛇の列が発生するなど、市民生活への影響が深刻化しています。

この事態を打開するため、上院共和党は新たな提案を打ち出しました。移民・関税執行局(ICE)の予算を切り離し、DHS全体の94%にあたる予算を先行して承認するという内容です。本記事では、この提案の背景や各党の思惑、そして今後の見通しについて解説します。

DHS閉鎖の経緯と現在の影響

閉鎖の発端

DHSの閉鎖は、2026会計年度の予算をめぐる与野党の対立が原因です。共和党はICEへの大幅な予算増額を求め、民主党はICEの執行活動に対する改革を条件に交渉を進めてきました。双方の溝が埋まらないまま、2月14日に一部閉鎖が始まりました。

市民生活への深刻な影響

閉鎖の影響は多方面に及んでいます。特に深刻なのが空港のセキュリティです。運輸保安庁(TSA)の職員約5万人が無給状態となり、3月13日には最初の給料日を丸々逃す事態となりました。TSA職員の欠勤率は通常の5倍に跳ね上がり、400人以上が辞職しています。

テキサス州ヒューストンのジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港では、8カ所ある保安検査場のうち2カ所しか稼働できず、待ち時間が約4時間に達する日もありました。イースター休暇や春休みを控え、旅行需要が高まる時期だけに、混乱の拡大が懸念されています。

安全保障への影響

沿岸警備隊は訓練を縮小し、一部の航空機を飛行停止としています。連邦緊急事態管理庁(FEMA)は災害復旧の一部支払いを処理できない状態が続いています。サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)の業務にも支障が出ており、国家安全保障の観点からも早期解決が求められています。

共和党の新提案とその狙い

ICE予算分離案の中身

上院多数党院内総務のジョン・スーン氏が提示した新提案は、DHS予算のうちICEの強制退去執行部門(ERO)向けの約55億ドルを除く94%を先行して承認するという内容です。これにより、TSA、FEMA、沿岸警備隊など大部分の機関を即座に再開させることを狙っています。

残るICE予算については、共和党が予算調整法案(リコンシリエーション)を通じて、民主党の賛成なしに成立させる方針です。さらに、トランプ大統領が強く求める「SAVE America Act」(有権者ID法案)もこの調整法案に盛り込む計画です。

民主党の反応

民主党のチャック・シューマー上院院内総務は「ICEを改革し、暴力を止めなければならない」と述べ、ICEの執行活動に対する改革措置が含まれない限り、合意には応じられないとの立場を示しています。民主党側は、ICE予算を単純に分離することで改革の機会が失われることを警戒しています。

トランプ大統領の態度

交渉をさらに複雑にしているのがトランプ大統領の姿勢です。大統領は「どんな合意でも、私はほぼ満足しない」と悲観的な見方を示し、DHS予算とSAVE America Actを一体化して処理するよう共和党に求めました。これにより、共和党指導部は党内と大統領の間で板挟みの状態に置かれています。

今後の見通しと注意点

合意への道筋

上院共和党指導部に近い関係者は、超党派での合意はまだ可能だとの見方を示しています。しかし、実現にはいくつのハードルがあります。民主党からは最低でもICE改革の一部を含めるよう求められており、トランプ大統領からはSAVE America Actとの連動が要求されています。

影響の長期化リスク

閉鎖が長引くほど、連邦職員の離職は加速し、TSAの機能回復にも時間がかかります。春の旅行シーズン本番を前に、空港の混乱が一層深刻化する可能性があります。また、FEMAの災害対応能力の低下は、災害発生時に甚大な被害をもたらしかねません。

政治的な駆け引き

両党はそれぞれ相手を閉鎖の責任者として非難し合っています。共和党は「民主党が国家安全保障を人質にしている」と主張し、民主党は「ICEの暴走を止めるのは議会の責任だ」と反論しています。中間選挙を見据えた政治的な思惑も絡み、合意形成の難易度が上がっています。

ICE改革要求と早期解決の行方

米DHS閉鎖は40日を超え、空港の混乱や安全保障機能の低下など、深刻な影響が広がっています。上院共和党はICE予算を分離する新提案を打ち出しましたが、民主党のICE改革要求やトランプ大統領の強硬姿勢との間で、交渉は依然として困難な状況です。

今後数日間の協議が、閉鎖の早期解決か長期化かを左右する重要な局面となります。市民生活や国家安全保障への影響を最小限に抑えるためにも、各党が歩み寄りを見せられるかが注目されます。

参考資料:

長谷川 悠人

米国政治・外交

米国政治の内幕を、ホワイトハウスから議会まで多角的に分析。政策決定のプロセスと日本への影響を鋭く読み解く。

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