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NASAアルテミスII、月周回飛行の全貌と今後の展望

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はじめに

2026年4月1日、NASAの大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」がケネディ宇宙センター39B射点から打ち上げられ、宇宙船オリオンに搭乗した4人の宇宙飛行士が月へ向かう旅を開始しました。「アルテミスII」と名付けられたこのミッションは、1972年のアポロ17号以来、実に54年ぶりとなる有人月周回飛行です。

打ち上げから4日目を迎えた4月4日時点で、オリオン宇宙船は地球から約27万2,000km(約16万9,000マイル)の距離に到達し、月までの距離は約17万8,000km(約11万マイル)にまで縮まっています。乗組員たちは「地球では今何曜日かわからなくなった」と語るほど、深宇宙での生活に没頭しています。この記事では、アルテミスIIミッションの全貌と、今後の月探査計画について解説します。

歴史的な4人のクルーと打ち上げの成功

多様性を象徴するクルー構成

アルテミスIIには、NASAの宇宙飛行士3名とカナダ宇宙庁(CSA)の宇宙飛行士1名の計4名が搭乗しています。

コマンダーを務めるリード・ワイズマンは元NASA主席宇宙飛行士で、米海軍テストパイロット出身です。国際宇宙ステーション(ISS)で165日間の滞在経験があり、低軌道を超えて月近傍まで到達した最年長の宇宙飛行士となりました。

パイロットのビクター・グローバーは米海軍大佐であり、ISSでの長期滞在ミッション「Crew-1」に参加した経験を持ちます。今回のミッションでは、月近傍に到達した初の有色人種の宇宙飛行士という歴史的な記録を打ち立てました。

ミッションスペシャリスト1のクリスティーナ・コックは、ISSで328日間の連続滞在を達成し、女性宇宙飛行士の単独最長滞在記録を保持しています。また、史上初の女性のみの船外活動にも参加した実績があります。今回、低軌道を超えて月近傍に到達した初の女性宇宙飛行士となりました。

ミッションスペシャリスト2のジェレミー・ハンセンはカナダ空軍大佐でCF-18戦闘機パイロットの経歴を持ちます。今回が初の宇宙飛行であり、米国以外の国籍を持つ人物として初めて月近傍に到達しました。

SLSロケットとオリオン宇宙船

SLSロケットは全高約98m(322フィート)、打ち上げ時の総重量は約260万kg(570万ポンド)で、離昇時に約400万kg(880万ポンド)の推力を発生します。これはかつてのサターンVロケットを約15%上回る推力です。

搭乗するオリオン宇宙船は最大6人の乗員を支援できる設計で、アポロ宇宙船と比較して約30%広い居住空間を備えています。搭載コンピュータはアポロの単一飛行コンピュータと比べて約75%軽量かつ2万倍高速で、ボーイング787を参考にしたガラスコックピット方式のデジタルインターフェースが採用されています。

フライト4日目の状況と月フライバイへの準備

深宇宙での飛行と各種テスト

4月4日のフライト4日目、クルーはチャペル・ロアンの「Pink Pony Club」をウェイクアップコールに目覚めました。この日はビクター・グローバーが深宇宙環境下でオリオン宇宙船の手動操縦テストを実施し、宇宙船の性能を確認しました。

クルーは運動器具のテストや無重力環境でのCPR(心肺蘇生法)訓練も行いました。さらに、宇宙船内の音響環境を分析するための24時間音響テストも予定されています。これらのデータは今後の長期有人宇宙飛行の設計に活用されます。

4月6日の月フライバイに向けて

ミッション最大のハイライトとなる月フライバイは、米東部時間4月6日午後2時45分から午後9時40分にかけて実施される予定です。オリオン宇宙船は月面から最接近時に約7,400km(約4,600マイル)まで近づきます。

クルーは月面の地形観測と高解像度写真撮影を行う予定で、NASAの科学チームが作成した観測対象リストに基づき、月の裏側を含む表面の特徴を分析します。特に、人類が肉眼で直接見たことのない月の裏側の地形が注目されています。

月の裏側観測の科学的意義

前例のない観測機会

フライバイの際、月の裏側は約20%のみが太陽光に照らされた状態になります。一見不利な条件に思えますが、この部分的な照明は長い影を生み出し、地形の起伏やクレーターの縁、尾根、斜面といった細部をかえって際立たせる効果があります。

肉眼では初めて観測される裏側の地形には、オリエンタル盆地の全容、ピエラッツォ・クレーター、オーム・クレーターなどが含まれます。特にオリエンタル盆地は約38億年前に直径約64kmの天体が衝突して形成されたとされ、その衝突で発生した膨大な破片が月面に降り注ぎ、エベレストの11倍の高さに達する波を生み出したと考えられています。

太陽コロナと微小隕石の観測

クルーは月面観測に加え、月の縁から見える太陽コロナ(太陽の最外層大気)の観測も実施します。また、微小隕石が月面に衝突した際の発光現象を捉えることで、将来の月面活動における表面の危険性に関するデータを収集します。これらの観測データは、月がどのように形成され、太陽系がどのように進化してきたかの理解を深める貴重な手がかりとなります。

今後のアルテミス計画と月面着陸への道筋

計画の再編と段階的アプローチ

NASAは2026年2月にアルテミス計画の大幅な見直しを発表しました。当初アルテミスIIIで予定されていた有人月面着陸は、安全性と確実性を重視する「急がば回れ」のアプローチへと方針転換されています。

新たな計画では、アルテミスIII(2027年予定)は地球低軌道でオリオン宇宙船と月着陸船(HLS)のランデブー・ドッキング試験を実施するミッションに変更されました。実際の有人月面着陸はアルテミスIV(2028年予定)に先送りとなっています。

日本を含む国際協力への影響

日本はアルテミス合意の署名国として、2028年以降のミッションで日本人宇宙飛行士2名を月面に送る計画を進めています。月面着陸ミッションがアルテミスIVに移行したことで、日本人の月面到達時期にも影響が及ぶ可能性があります。アルテミスIIにカナダ人宇宙飛行士のハンセンが搭乗していることが示すように、アルテミス計画は国際協力を基盤とした月探査プログラムとして発展を続けています。

まとめ

アルテミスIIは、54年ぶりに人類を月の近傍へ送り届ける歴史的なミッションです。4人のクルーは女性初、有色人種初、米国外国籍初という複数の記録を同時に達成し、宇宙探査の新時代を象徴する存在となっています。

4月6日に予定されている月フライバイでは、人類が肉眼で初めて目にする月の裏側の地形観測が最大の注目点です。4月10日の帰還まで、ミッションの安全な遂行が期待されます。そして、アルテミスIIで得られるデータと経験は、2028年に予定される有人月面着陸への重要な布石となるでしょう。

参考資料:

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